私が緩和ケア病棟で看護助手をしながらがん患者さんとその家族のために音楽療法を始めたのは1991年のことです。高齢の方たちや末期がんの方たちの厳しい状況に社会が関心を持ち始めた頃でした。
自立している人から看取りの人までが対象となる緩和ケアの音楽療法は、やがて高齢者の音楽療法にも展開していきましたが、1995年頃から病院や社会福祉法人関係の施設では経営難と職員の疲弊が深まり、その影響は音楽療法に影を落としてもいました。
そのようなとき、ひとつの出会いがありました。高齢者福祉業界のとある一般企業の人でした。私の携わる音楽療法に共感したその人との出会いが、病院や社会福祉法人に留まらず民間においてもそれぞれの人の状態に適したシームレスな音楽療法を実践することにつながっていきました。
音楽療法を社会がもっと認識してほしい。音楽療法で社会に貢献したい。そして職業として社会に確立させたい。
そのような強い想いを持って、私たちは2015年、職能集団として“こころのわ”を設立いたしました。
こころのわ設立時理事 新倉晶子